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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
どう見ても、軍人足か牛追のような身なりであった。
大蔵はしじゅう辺りへ眼をくばる。いつまでも黙っている。
権三へ話しにくいわけでもなく、酔を待つのでもないらしい。腰かけには、ほかの客もいたからだった。
「権三、出よう」
銭をおいて彼は歩き出した。といっても、野天市の人目はどこも変りがない。
「ここがいい」
やっと河原べりの傾斜を見つけて、彼は鮎の石焼きみたいになって寝そべッた。二月の若い草が、石コロの間々に青かった。
「権三、寝ころべよ。坐ッてるなんざ、人が見てもおかしいや」
「へい」
ぜひなく、権三もずんぐり太い体を腹ン這いにして、ふと。
「何だか、こうやってると、天気はいいし、金剛山の楠木勢の眼からここの二人が見えるような気がしますぜ」
「ほんとだ」
山を振り仰いで、大蔵も一笑した。
そしてその眼を、河原の蔭の小さい支流の岸へやった。ふと人声がしたのである。
散所民の女子供たちが、古金やボロの山をかこんで、小舟で運ぶ物をふるい分けているのだった。
おそらくは必死な稼ぎなのだろう。――合戦のあるたびに、戦場のあとから谷やら峰道を、暗夜、命がけで嗅ぎあるいて、死者の持物やら小袖などを剥ぎ取ることが半公然とおこなわれていた。