輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
「へえ。……あれッきり六波羅へも帰らずにね。いったい、誰のためそんなクソ働きをしてるんですえ?」
「知れたこッた。人間、己れ以外のために、たれが捨身になるものか。――頼まれたのは山の隠者からだが、その隠者へは、時々、両軍のもようを知らせてさえおけば、いくらでも金はつかわせてくれるんだ。……しかしただそれだけで、この大蔵が、飼いごろしにされて間尺に合うものじゃあねえ」
「だけど、あの世捨て人が、なんだってまた、そんなに戦のもようを知りたがるのか。そして隠者の腹は、宮方なのか鎌倉方なのか、そこはいったいどうなんです?」
「いや、あの毛利時親ッてえ爺さんには、宮方も関東もねえんだよ。……ただの学者さ、兵学者だ。……家につたわる大江家伝来の和漢の軍書にとッ憑かれて、つい一生を書の虫みたいに送ッちまった人にすぎねえ」
「なるほどね」
「ところが今、目のさきでは、兵書の理くつではないほんとの大戦が始まっている。隠者にすれば、こいつは大したこの世の見ものだ。そこで俺をつかって、両軍の情報を事こまかにききあつめ、自分は山荘の机に戦絵図をひろげたッきりで、何か夢中になっているあんばいなのさ。