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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
これが、遠くは麓の観心寺や佐備、天野から、なお視界の外の裏金剛の抜ケ道にまであるのである。寄手の総軍馬、数十万と号されても、眼ではそうかと信じられる。
それにたいして、千早には、正成、正季の下に、どれほどな守兵があるのか。
忍ノ大蔵は知っていた。
わずか千か、せいぜい千二、三百をこえていない。
大蔵の眸は、その孤塁へ、じっと吸いよせられていた。
五、六万騎とみえる寄手に、千早城の一千人は、五十対一でしかない。いかになんでも少なすぎる。
けれど、上赤坂も陥ち、さいごの千早も籠城百日をこえた頃には、もっと少なかったかもしれないのだ。
それが事実である。
かつては“金剛山大要塞説”という、おそろしく幻想的な過大視もおこなわれていた。徳川時代の兵法者流の錯覚である。また明治、大正以後の極端な楠公崇拝のあまりに生じた誇張だった。
たとえば、それによると。
河内金剛山の海抜四千尺から、前面の石川平野、大和川、住吉、堺までを作戦地域とし、搦手は紀伊、葛城山脈などの山波を擁し、いたるところの前哨陣地から金剛の山ふところまで、数十の城砦を配していたことになる。だがそれには、正成自身の手にまず少なくても、三万以上の兵力がなくてはならない。