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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

「いらんことだ」

と、高時は感情まる出しに。

「なぜ高氏ずれに、そこまでの機嫌をとらねばならんか」

「これはてまえの言い方が不行届きで。要は、探りをやってみてはと申しあげてみたわけです」

「たれをやる?」

「てまえが行きましょう」

「おもしろいな」

と、たちまちニヤとして。

「這奴、仮病であったらあわてるだろうな。そちではゴマ化しも相なるまいし」

「手にはのらぬつもりでございまする」

「よかろう。申しつける」

数日後のことだった。

日ごろは横目に素通りしていた大蔵の足利屋敷の門へ、道誉はいい口実をえて、駒をつないだ。

すでに年暮景色で、どこの門にも注連飾りや大きな門松が立っていたが、足利家にはそれがなかった。

「……はてな」と見まわして「服喪は一年、先代貞氏の喪なら、もう明けているはずだが」

邸内もひっそりだった。

考えてみると、足利家の門の繁昌も、赤橋守時が執権中だけのことで、そのごは守時の逼塞と共に、高氏も不遇な方にちがいなかった。

「そのせいか」

やがて、書院の客座につく。

下賜の鮮魚や品々の目録を披露して、道誉は、家臣一統へ、申しいれた。

「ご当主には、だいぶお長い御病気、どんなか、よう見舞うてこいとの御諚でおざる。