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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
「幼子らは、何も知らないのだ。母とも一つには住めぬことになる。留守中、泣かぬように遊び相手になってくれい。そうだ今のうちに、子供らへも、父からひと言」
やがて高氏は、いちど私室へひきとった。どこかで遊んでいた千寿王(後ノ足利義詮)と、めかけ腹の竹若が、そこへ呼ばれて入って行った。……しかしまたすぐ、さきに表方へ立っていた直義が、事ありげに、兄高氏の姿をそこらでさがしていた。
お居間
と聞いたのだが、直義はふと、そこへ来るなりためらった。
兄の声はせず、すすり泣きがする。幼い者二人らしい。
そっとのぞいてみると実子の千寿王と竹若を前におき、高氏が何か言いきかせているのであった。理解力のある大人へでもするような容で、その高氏も瞼を赤らめているのである。
「……ち」
直義は唇を鳴らした。なんたることだ、このさいに、と。
子供との別れにさえこれである。嫂の登子とはどうだろうか。これからまだ綿々の情を夫婦の室で惜しみ合うことであるのだろう。見てはいられない。これが兄の高氏だ。ふだんの兄の裏がわが今日はおおいえないのか。
「兄者」
「……。直義か」
「そうです、ご休息で」