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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁

青空文庫

「それもよかろう」

さからわずに、彼は言った。

「恨むなら恨め。わしはおまえを憎いとは思わぬだろう。また生涯忘れもしまい。不知哉丸をも生んだ女だ」

と、聞くと、彼女のどこかで瞬間、べつな女が、切なそうな息を内へひいた。不知哉丸を思い出させるなどは、むごい言だったのである。

高氏は悔いたが、追いつかなかった。それは女の心理をなお夜叉そのものにしてしまった。

「あなたは父御のおつもりか。その父御があの和子に、何を親らしいこと一つでもしたでしょう。けだものすらも、子は可愛がる。子を質として人手には渡すまいに」

「哮るな、男には男の情、女の知ったことではない」

「さもしいお方だ、そんなにまでして、身の栄花が欲しいのか。天下とやらを取りたいのか」

「だまらぬか」

「だまりません! あなたは、ご自分の慾しか知ってないんでしょ。慾のためには、女も売り、子を捨てても」

「藤夜叉」

「なんです※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「ならばいうぞ」

「いってごらんなさい」

「そなたはすでに、他人の女ではなかったのか。さ、なぜ道誉へ身をゆるした」

「ひぇっ」

「おめおめ、この高氏の前へ出られた女ではあるまいがの」