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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(四)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 229,324 字 · 458 頁
と、驚きもなさらない。
また、能登ノ介の腹ぐろい害意をお告げしても、
「わかっている」
帝は彼女以上にも、ご存知な風だった。
ただいささか、ご当惑に見えたのは、帝のおたねをやどして早や三月か四月にあることを、彼女がいたそれを聞かれたときのおん眉の翳だけだった。
けれど、それも決して女性の猜疑を刺すほどではなく「だいじにせよ」と、一そうな愛しみをこめて「……案じることはない。何事もの」と、力づよく仰っしゃった。
帝は何か、かたい自信を持っておいでらしいのだ。具体的にはお洩らしもなかったが、さしあたっては、柵守の能登ノ介は上手に御しておけとか、またそなたはあくまで以前どおり鎌倉方の女諜者と思わせておくがいいとか、細やかな策もさずけられた。
彼女はすっかり安心した。その朝の後朝から、丘下の木の丸小屋へ退がってからでも、初めて異分子でなく居る所をえた気がしていた。
そして時々顔を見せる能登ノ介へは、それ以後よけい愛想よくむかえ、ふと手など握れば握らせておいて、しかも靡きもせず、あしらっていた。
阿野廉子
どこだろう。海上もまだ、くらいうちだった。いんいんと事ありげな貝の音が尾を曳いている。