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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

四

――金を費う外には能の無い造酒助には此上もない大明神ですね」

八五郎の品定めは、これで大方終りました。

「其処へお前が乗込もうというのか。大江山に乗込む気で行くのがいい、怖いぜ」

平次は一応の注意をして置きました。フェミニストの八五郎は、又何をやり出すかわからなかったのです。

四

この小さい発端が、思わぬ事件に発展しようとは、平次も八五郎も思い及ばなかったでしょう。

それから三日目の朝、

「サア大変だ、親分」

などと八五郎が飛込むまで、平次は女護の島へ行った八五郎の「女に対する甘さ」ばかり心配して居たのです。

「頼むぜ、八、まだ朝飯前だ。大変なんか持込まれちゃ、味噌汁が喉を通らないよ」

「それどころじゃありませんよ。昨夜飛んで来ようと思ったが、あんまり遅いから遠慮して――」

「お前でも遠慮なんかするのかえ」

「独りで始末をつけて、明るくなるのを待って飛んで来ましたよ」

「どうしたというんだ」

「どうにもこうにも、あれは鬼のすることですね。一番可愛らしいお萩が、お湯の帰り路地の中で殺されたんですよ」

「お萩が?」

「聞いて下さい。親分、昨夜亥刻(十時)少し前、町内の丁子湯へ行ったお房とお萩が、湯の中で言い争いをして、お萩は腹立ち紛れに飛出し、ろくに身体も拭かずに着物を引っ掛けて帰って来る途中、米沢町一丁目の暗い路地の中で誰かに