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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

【第三回】

一

二階の手摺から落ちたところへ、石灯籠を突っ転がして、首筋から背中へ背負わされたに違いありません。灯籠の笠はちょいと三十貫位はあるでしょうよ。あれを背負わされちゃ、達者な蛸入道も一とたまりも無かったでしょうよ」

「二階には誰と誰が居たんだ」

「皆んな居たと言いますがね、――呑んで騒ぐから、小便持ちが悪くて、梯子段はお百度石の前ほどの賑わいだ。小便におりししにおり、引っ切りなしの往来だから、誰が座敷に居たか、誰が縁側に居たか、わかりゃしません」

「酒を呑まないのは?」

「才六と篠崎小平さんは、あんまり酔って居なかったようで」

「奇月は何んにも言わなかったと言ったな」

「一と言も言わなかったそうで――」

「兎も角、行って見よう」

平次はいよいよ出動する気になりました。小梅の寮の事件は、こうして又厄介な問題を一つ投げかけたのです。

【第三回】

一

小梅の寮へ駆けつけた平次は、何より先ず庭に入って、野幇間の奇月が死んだ場所へ、八五郎に案内させるのでした。

「間違いあるまいな、八、確かに奇月宗匠の死んでいた場所は此辺か」

平次は恐ろしく念入です。

「大丈夫ですよ、この倒れた石灯籠を背負って居たんだから」