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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

五

その一軒は、腰抜け彌八の家で――」

八五郎はそう言って、自分の口に蓋をするのです。気が付くと路地の向うの出口、多勢の野次馬が覗いている中に、浪人風のちょいと良い男が混じって居ります。それが多分浪人者腰抜け彌八というのでしょう。

五

巴屋へ入ると、

「八五郎親分、どうして下さるんです。子供等は皆んな脅え切ってるじゃありませんか。金のかかって居るのを、次々とこう殺されちゃ、私も両国の水茶屋をやって行くのが恐ろしくなりました」

八五郎の胸倉をつかみそうにするのは、内儀のお余野でした。

「待ってくれよ、内儀さん、今度は銭形の親分をつれて来たから、間違いもなく下手人はわかるだろう」

「まァ」

内儀は今更らしく眼を見張ります。此辺の水商売の女が、銭形平次の顔を知らない筈は無いのですが、恐らく面喰らって居るのでしょう。

「親方は居るだろうな」

平次は顧みて他の事を言いました。

「あんまり変なことが続くので、頭痛がすると言って休んで居りますが」

内儀のお余野の言葉の終らぬうちに、少ししどけない姿の主人造酒助が顔を出しました。

「銭形の親分さん、飛んだお骨折で」

「気の毒だが、二人まで殺されちゃ、手緩い事では埒があくまい、兎も角、一緒に来て貰い度いが――」