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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

二

お浜坊が動くと、何時でも五つや十の若い男の眼が従いて歩く位だから、お浜坊が――助けてェ――などと張上げようものなら大変で」

「――」

平次はニヤニヤしながら聴いて居ります。八五郎の話は、素っ頓興に発展して、

「宇佐美敬太郎、根津に住めなくなって、知辺を頼って下谷竹町へ引越したわけ、ざっとこんな筋ですよ」

ようやく結びが付いたようです。

「御苦労御苦労お陰で気が軽くなったよ」

浪人宇佐美敬太郎と、猿曳の妹が、この事件にどう関係しているか、それは平次にもわかりません。

二

十二月十日の宵。

「八、お前は此処で見張ってくれないか」

飯田町の御旗本、波岡采女の門の外で平次は妙なことを言い出すのです。

「どうしたんです親分」

八五郎は薄寒そうに襟を掻き合せて、不平らしく問いました。

「此処はお前に任せて、俺は、家へ帰って寝るときめたよ」

「へェ」

「裏表厳重に見張って居るし、お前に任せて置けば、俺は風邪を引くまでも無さそうだ。こんな晩は一パイ呑んで寝るに限るぜ」

「それは殺生ですぜ、親分。銭形の親分が大きい目で見張っていてさへ、風のように隙間からもぐり込む曲者じゃありませんか」