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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁
【第二回】
一
「変な野郎?」
「目黒の浪次というやくざで」
「本当か、それは?」
「吹矢筒を持って居たそうですよ」
曾てお通の眼を狙った曲者――尼姿のお通を執こく追い回した男――それが、お通の羽織を着た、娘お照を、匕首で刺したかも知れない男でないと誰が保証するでしょう――梯子を降りながら、平次の想像は極めて活発に飛躍します。
【第二回】
一
「野郎来やがれッ」
下っ引の湯島の吉は、この時ほど良い心持になったことはありません。この稼業をしてからざっと十年、もう男の厄はとうに越しましたが、腕っ節の良いのと、人間の甘い外には取柄がなく、何時まで経っても、鼠を捕らぬ猫に例えられる、まことに慨かわしき存在だったのです。
それが、まぐれ当りと言おうか、石井依右衛門家の裏のあたりで、鵜の目鷹の目で往来を見張って居ると、首尾よく網に掛った一人の男、やくざ風で、ちょいと良い男でキョトキョトして居るのが変だと思うと、
「へェ、へェ、あっしは怪しい者じゃありません、浪次と言って、目黒では少しばかり人にも知られて居りますが――」
と訊きもしないのに名乗って出るのです。
「それは何んだ、見せろ」
右の手にブラさげている竹筒、按摩の杖より逞しく、四尺あまりもあるのを指すと、