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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

「お前は歌を詠むんだってね、すっかり見直したよ」

「あら、どこからそんな事を?」

「丹波さんがそう言ったよ」

「まァ」

祭はいかにも極りが悪そうでした。

「何時頃から始めたんだ」

「子供の時から――母に手ほどきしてもらったんですもの」

「良い楽しみだよ――ところで、昨夜、お房は路地の中で誰を待って居たんだ。お前は知ってるだろうと思うが」

「――」

歌の話が殺しの話になると、祭の表情は堅くなって、急に口を噤んでしまいました。

「言い度くないと見えるな――では、お萩のことを訊き度い。あの女にも言い交した男があったことと思うが、それはお前も知ってるだろう」

平次は質問を変えました。この小娘――見かけよりは賢くて慎み深い祭の口を開かせるのは、容易のわざで無いと見て取ったのです。

「私は何んにも知りません。でも、お萩さんは、本心のしっかりした人で、そんな事は無かったと思います」

「伊豆屋の若旦那や、網干の七平は」

「まさか、あんな人達と」

「丹波彌八郎さんは?」

「陰では褒めて居ました。腰抜けとか何んとか言われているけれど、あんな立派な人は無いって――」

「他には」

「多勢男の方が見えますが、別に」