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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁
「お春は本当に、何んにも知らなかったでしょうか」
八五郎は訊ねました。
「いや、皆んな知っている筈だよ、巡礼の死骸だって、宗之助一人の力では、玄関まで運べないよ、――あの爺さんは、始終来る物貰いではあったが、村越家には全くの他人さ、田圃で首を縊って死んで居るのを、宗之助が見付けて、お春の春吉に手伝わせて引摺り込み、心の弱って居る峰右衛門を脅かす道具にしただけの事だろう」
「浪人の斬り合いは」
「皆んな宗之助のお道の細工だ、うまくたくらんだものだよ、もっとも殺させる気は無かったかも知れない、二人に喧嘩をさして、二人共退散させる積りだったろう、少し薬がきき過ぎて、富山七之助が秋山彌十を殺したので、其場を去らせず、宗之助は、富山七之助のやり過ぎに喰ってかかったのだろう、女の子にしては恐ろしい胆力だ」
「下男の勇太郎を殺したのは」
「多分――多分だよ、勇太郎が、宗之助の素性を見破り、その女だということを知って、無体なことを言い寄ったに違いあるまい、男の子に化けて居ても、十八になったばかりの娘だ、ツイかっとして、弟の春吉と力を協せ、勇太郎が無理に呼び寄せて、しな垂れかかるところへ、首へ細紐を巻いて二人の力で絞め殺し、とうとう口を塞いでしまったのだろう、その上に臼を仕掛けて落し、絞め殺したのを胡麻化したに違いあるまい。