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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 猿回し(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 125,671 字 · 252 頁

青空文庫

――人は武士なぜ傾城に嫌がられ――なんと、うまい事を言ったもので」

「刃物までも振り回したのか」

「だからお話の種なんで、――あの宇佐美敬太郎という浪人者は、この夏まで根津に居たんだそうですよ。近所付き合いで、ツイ信吉と懇意になるうちに、妹のお浜坊を何んとかしようという大望を起し、間がな隙がな掻き口説いた――あの柄でね」

「柄で口説くかえ」

「浜坊は根が利巧だから、うんと言いませんよ。しびれを切らした宇佐美敬太郎、とうとうお浜坊のお湯の帰りを待ち伏せて、胸倉を掴んで、刀まで抜いての強談だ」

「そんな事をやったのか、あの御浪人なかなか人間が出来て居そうだが」

「そこがそれ――恋は思案の――」

「もう解ったよ」

「刃物まで振り廻して、力つくで娘を口説くなんて根性じゃ、どうせモノになりっこは無い、お浜は利巧だから」

「お浜坊の利巧なことはよくわかったよ」

「宇佐美敬太郎の言うことを、聴くような聴かないような顔をして、暗がりからズルズルと明るみに出た。往来の人の顔が見えるところへ来ると、お浜坊いきなり張上げたから大した知恵でしょう」

「――」

「その声をきくと、根津中の野次馬が飛び出した――嘘じゃありませんよ。