Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Read 大岡越前 (おおおかえちぜん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 218,436 characters · 437 screens
越前が尊ぶのは、やはりそこです。法とは、すでに、いささかの“私”なきことです。たとえ、その大法を初めに、制定された御宗家であろうと、天下諸民を、律する法として生きた以上、もはや、将軍家の御意志でも、ゆめ、左右されるものでもなく、また、お口出しすべきものでもない。――その、絶対なる尊厳を、上みずから冒すとすれば、上も、法の賊です。世を紊し、秩序をやぶり、ひいては、将軍家みずから将軍家を破るものです」
「……これは、手がつけられん」
大和守は、うしろを振向いて、北町奉行の中山出雲守と、にが笑いを見あわせた。
出雲守も、何か一言、いわなければならない義理を、感じたように、
「まあ、越前どの。そう理屈一図に、仰っしゃるものではない。貴公は、年久しく、伊勢山田のような、暢ンびりした田舎においでられたから、江戸、柳営などの、事情に精通されないのもご尤もじゃが、政治にも、裏と表があり、法の適用にも、そこは、手加減、酌量などがあって、行われているものだ。
――元々、東洋の法は、仁を本とし、苛烈な罰が目あてではござらぬ。なお、朱子の語にもある。
――聖人ノ治ハ、徳ヲ以テ、民ヲ化スヲ本トナス。