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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens

Aozora Bunko

平次は少しも責め手を緩めません。

「笑っちゃいけませんよ、親分」

「笑やしないよ、子供の時から、俺は睨めっこの名人さ、可笑しくたって笑わないから」

「弱ったなア、親分、からかっちゃ話が出来ねえ」

「贅沢な男だな、さア、言いねえ」

そんな事を言われながら、八五郎はとうとう三日前の晩の事を、一伍一什話させられてしまいました。

「叔母さんから五両借りて、暮の凌ぎにさせるつもりで渡すと、娘はそれを握って、一目散に駆け出しましたよ。身売りをせずに済んで、どんなに喜んだか解りません」

ガラッ八はこう語りおわりました。

「そんな親切の籠った金を貰って、娘は手前の名も訊かなかったのかい」

「ヘエ――」

「少し薄情だと思わなかったか」

「面喰らっていたんでしょうよ、親分」

「仏様だな、手前は」

「でも、ここへ尋ね当てて来たじゃありませんか、――叔母の家からでも訊いたんでしょう」

八五郎は娘の行動に理由付けるのに一生懸命でした。

「それが大笑いさ、あの娘は両国橋で助けて貰ったのは、八五郎兄哥とは夢にも知らねえ。まるっきり違った用事で、この平次を訪ねて来たのさ」

「ヘエ――」

「驚くなよ、八」