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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
三
「商売の方は?」
「大した繁昌でございます」
「それにしちゃ人数が少ないようだが」
「番頭さんの外に、若旦那の金三郎さんと、甥の久太郎さんが店をやり、御出入りの大名旗本方へも参ります」
名代の握り屋だけに、人の数までも最小限度に切詰めているのでしょう。
「その久太郎というのは?」
「お紋さんと従兄妹同士で、三十そこそこでございます、肌合の面白い方で」
「そんな事でよかろう、行ってみるとしようか」
「私がここへ来たことは、どうぞ内緒にしておいて下さい」
「それは心得ているよ」
銭形平次はこうして、この厄介な事件に乗出しました。
三
平次が中橋の鳴子屋へ行った時、仕度までした葬いが、門口でガラッ八に止められて、大揉めの真っ最中でした。
「親分、これはどうしたことでございます」
青くなって顫え上がっている家族や奉公人の中から、平次の顔を見ると、いきなり飛出して来たのは三十前後の恰幅の立派な男、髯の跡の青々とした、ただの呉服屋の番頭というよりは、町奴、浪人者といった方が相応しい男振りです。
「お前さんは?」
「亡くなった主人の甥の久太郎でございます」
「それなら話はよく解るだろう。