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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens

Aozora Bunko

四

利助の怪我を知っている事も、自分の前へ平気な顔をさらした事も、からかい面の物の言いようも、あの抜群の美しさも――。

四

それから四五日経ちました。

徳三郎は、思いのほか素直な人間で、利助が付けた目付役らしくもなく、腹から平次に心服して、蔭日向なく働くので、平次もすっかり気をよくしておりましたが――、

ある日の朝。

槙町に殺しがあると聞いて、縄張内ではありませんが、様子を見に出かけようとしていると、八丁堀の与力、笹野新三郎のところから火急の用事があるから、とりあえず来るようにという使いの者がありました。

出かけて行ったのは、もう巳刻(午前十時)近い頃、新三郎は奉行所へも行かず、余程の大事件と見えて、八丁堀の役宅に、平次の来るのを待っておりました。

「旦那、お早うございます」

明るい縁側に、両手をついた平次。何の気もなく顔をあげると、笹野新三郎の、想像も付かぬ、むつかしい顔にハタと逢ってしまいました。

「平次、困ったことになったぞ」

「ヘエ――」

何が何だか、少しもわかりません。

「槙町に殺しがあったことは知っているだろうな」

「ヘエ、存じております。これから出掛けようとしていたところで」