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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
八
「重ねた座蒲団の間に?――座蒲団はお客様が皆んな帰ってから重ねたんだろう」
「え、だから少し変だったんです。――座蒲団と一緒に紙入を持って重ねたことになるでしょう」
「それから」
と平次。
「佐々波さんがそれを見て、印形や書類が入っているようだから、すぐ届けて上げる方かよかろうと言って、私を送って下すったんです」
十三になったばかりの長吉は、なかなかハキハキした小僧でした。
「それでいい、――有難うよ、小僧さん」
平次はそれから、その晩の家の者の出入りを調べてみましたが、五六日も経っていることで、誰も確かな不在証明を持っているものはありません。
「佐々波さんは?」
好い男の浪人へ訊くと、
「お客が帰るまでは裏二階の自分の部屋で書見をしていた、――お客が帰ったと聞いて離屋へ行ってみると、長吉が紙入を持って途方に暮れているから、一緒に返しに行ってやったと思う――が」
これが一番はっきりしております。
八
翌る日、疾風のように飛んで来た八五郎は、
「親分、大変ですぜ」
「何が大変なんだ」
「三河屋のお村が、大川へ身を投げて死にましたぜ」
平次の前にこう言ってへたばりました。