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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
「それはいい心掛けだ、――叔母さんが何を怖がっていたんだ」
「玄々斎の言った事だそうです」
「玄々斎が何を言ったんだ?」
両国の人相見が、いよいよここに登場したのです。
「七日経たないうちに、死ぬ――と言ったんだそうです」
「叔母さんがかい」
「え、――叔母は玄々斎の言うことなら、どんな事でも本当にしました。それからは外へ一と足も出ず、戸締りをいちいち自分で見廻って、本当に息を殺して奥の部屋に居たのです」
「それはいつのことだ」
「死んだのは、ちょうど言われてから七日目の晩に当ります」
「皆んなそれを知っているのか」
「私と金三郎さんと、久太郎さんと、番頭さんが知っているだけです。久太郎さんは大層心配して、死ぬと決った命も、慈悲善根を施して助かった例があるから、といろいろすすめたようですが」
「叔母さんは慈悲善根を施す気がなかったと言うのだろう」
「…………」
お紋の話で、事件に新しい階段が現れました。これを辿って行ったら、どこまで行くことでしょう。
「親分、変なことになったね」
横合からガラッ八が首を出しました。
「八、家中の出口を捜してくれ」
「ヘエ――?」
「入ったところは要らない、出口だけ捜すんだ。