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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
私はこのからくりを滝松の友達から聞きました。あんまりな悪戯だから、お上へ申上げようと思いましたが、フト気が変って、それを種に玄々斎をうんと言わせ、少しでも叔母の心を柔げようと思ったのでございます。出鱈目な人相見が当って、叔母が七日目に殺されたのは、どうした廻り合せでしょう。こうなると、死んだ叔母に申し訳がなくて、じっとしていられないような心持になります」
久太郎はすっかり打ちひしがれて、何もかも白状してしまいました。
「ところで、その細工を知っているのは、誰と誰だい」
「私と玄々斎だけです。もっとも、玄々斎のところで脅かされてきた晩、叔母は番頭と金三郎とお紋には話したようですが」
「玄々斎の家で誰か聞いてはいなかったか」
「誰もいなかったはずですが、私が帰ってから女房や弟子に話したかも解りません」
「玄々斎の女房は恐ろしく若作りだが、あれはどんな女だい」
「玄々斎と叔母が懇意にしているのが気に入らなかった様子です。叔母は四十を越していましたが、あの通り元気もので、それに万両分限の女主人ですから――」
平次も次第に事件の輪郭が解って来るような心持がします。が、相変らず、下手人がここから脱け出した秘密だけは解りません。