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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
銭形平次も少し持て余し気味の様子です。
「すぐ判りそうなもんじゃありませんか。――お七夜、お十夜、八十八夜、百夜通いは深草の少将で――」
「馬鹿野郎」
「へッ、うっかり智恵も出せねえ」
柏餅で腹一杯になると、ガラッ八はもうこんな調子でした。
「元日から百四十四日目というと、五月の二十六日になりますね」
お品は指を折りながら、月の大小を勘定しております。
「そんな事かも知れないが、元日から勘定するのは、暦の上では珍しいことだ。例えば、八十八夜も二百十日も、節分から勘定するのが定法だから――」
「節分は?」
ガラッ八は立上がって柱暦を覗きました。
「節分は暮だったよ。そいつは今年の暦だ」
「不自由な暦だね」
「節分から百四十四日目は、八十八夜から五十六日目じゃないか、八十八夜は何日だい?」
「だからあっしが八十八夜と言ったじゃありませんか」
ガラッ八の鼻は少しばかり蠢きます。
「深草の少将だけは余計だよ。――無駄を刈って、八十八夜を捜しな」
「三月の七日」
「お品さん、算盤を頼みますよ。三月は小の月だから八十八に二十二足す。四月も小でそれに二十九足す――といくら」
「百三十九になりますよ」