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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 142,597 characters · 289 screens

Aozora Bunko

四

「お寿の毛ですよ、親分」

「判っているよ」

美女お寿は、類稀な姿と顔形に恵まれながら、何の因果か赤くて縮れた毛を持っているので有名だったのです。

四

「刃物は?」

平次は四方を見廻しました。こんな場合、よっぽど落着いた悪党でないと、たいがい血だらけな刃物は捨てて行くものです。

「三輪の親分も捜しましたが、見当りませんよ」

番太の老爺はそう言います。

「八、念入りに捜してみてくれ。下水の中でなきゃ、塀の中だ」

「よし来た」

八五郎は番太の提灯を借りると、いきなり下水の中へ首を突っ込みました。

「かき廻しちゃ何にもならない。下水を念入りに捜すのは明朝の事にして、塀の中を見るんだ」

「ヘエ――」

がしかし、それも無駄でした。

「八、あれは何だ」

しばらくすると、平次は月の光に白々と見える、右手の長屋の板庇の上を指しました。

「光るようですね、親分」

「梯子を借りて見てくれ、雨が降ったはずはないし、――庇の上の光るのは変だ」

平次に言われるまでもありません。八五郎は気軽に梯子を借り出して、庇へ掛けると、筒抜けに驚きの声をあげます。

「親分、見付かりましたよ――血だらけの剃刀」

「有難い、それで何もかも揃った」