Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Read 大岡越前 (おおおかえちぜん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 218,436 characters · 437 screens

Aozora Bunko

そのまた受売り屋の講釈を真にうけて、したいこともせず、窮屈に、一生を棒に振ッちまった阿呆がどれほど多いかを、おれなんざ、身に沁みて、知ってるんだ。――第一が、おれの親父の大岡五郎左衛門。正しい政治が立つとか立たぬとかいって、高力伊予守を斬り、自分も殺され、家は断絶、おれという息子にまで、こんな日蔭の一生をのこして死んでしまやがった。いったい大岡一門には、正直の上にバカのつく侍が多いが、ここのおやじの――おめえの養父忠右衛門なども――」

「亀次。……し、しずかにしてくれ」

たまりかねて、市十郎は、哀訴の手を振りながら、眼で、奥の部屋をさした。

亀次郎の大亀も、首をすくめて、ペロと、舌のさきを見せ、

「まだ、起きてるのか。……奥は」

「寝たが、もし、養父が目をさまして来たら、ふたりともただではすまぬ」

「おらあ、いいよ。かまわねえよ」

大亀は、わざといって、

「――だが、おめえは養子。気をつかうのもむりはねえ。しずかにしよう」

「亀次。いったい、あれから、どうしていたのか」

「長いはなしは、あとでする。とにかく市の字。匿ってくれ、今夜から」

「え? ここへか」

「ほんの当座だ。