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げんだいやくろんご
現代訳論語
下村 湖人
Read 現代訳論語 (げんだいやくろんご) by 下村 湖人 (しもむらこじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 127,327 characters · 256 screens
――
「胸中に宝を抱きながら、国家の混迷を傍観している人を、果して仁者といえましょうか。」
先師――
「いえません。」
陽貨――
「国事に挺身したい希望を持ちながら、しばしばその機会を失う人を、果して知者といえましょうか。」
先師――
「いえません。」
陽貨――
「月日は流れ、歳は人を待ってはくれないものですが……」
先師――
「よくわかりました。いずれそのうちには、私もご奉公することにいたしましょう。」
○ 陽貨==季氏の家臣、名は虎。主人の季桓子を拘禁して自ら大夫に押しあがり、一時国政を専らにしていた。彼が孔子を挙用しようとしたのは、むろん真面目な考えからではなく、社会の批判を避け、自分の政治に箔をつけるためだつたのである。
○ 当時、大夫が士に物を贈つた場合、もし士が留守中であつたらあとでその士は大夫の家に出向いて謝辞を述べるのが礼になつていた。陽貨はそこをねらつて、わざと孔子の留守中に豚を贈つた。ところが、孔子もさるもの、陽貨の手をそのままつかつて、陽貨の留守中にお礼に行つたのである。
○ 陽貨の孔子に対していつたことは、言葉としては一々もつともで、正面から反対が出来なかつたので、孔子は、すべてを肯定した。