Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 125,671 characters · 252 screens
* *
「お萩とお房を殺したのは、矢張りあのお内儀のお余野ですか」
八五郎が腑に落ちない顔を持って来たのは、丁度三日目、お余野の水死体を葬った日でした。
「気の毒だが、思い詰めたのだよ。あのお余野という女は、付け焼刃の空元気で、多勢の女の子を引回して水茶屋なんかをやっていたが、あれは本心はあの商売が嫌で嫌でたまらなかったんだ――俺にもそっと愚痴を言ったことがあるよ」
「へェ、人間の心持はわからないものですね」
「役者崩れの亭主の造酒助が、あんな商売が好きで、女房の嫌がるのを無理に続けさせたんだ。そして若い女を多勢飼って置いて、それに取巻かれて居たいのがあの男の病気だったんだ」
「――」
「その上、気に入ったのがあれば、片っ端から手をつけ、近頃はお房に夢中だったのだ。内儀の余野は亭主とお房の間を割こうとしたが、亭主の造酒助がどうしても承知しない。親許の無いお房もまた、何処へ行く当ても無かったのだろう。そこでお余野は、思い余ってお房を殺そうとした」
「先に殺されたのはお萩じゃありませんか」
「間違ったのだよ。何時でも風呂から先に出て来るのはお房の方だし、身体の格好がよく似ている上に、お仕着せまで同じだ」