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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
「そんな事はありません、私が開けたんですから」
お早は事もなげです。
「そいつは話が違って来るようだな」
「お早どん、お前が開けたのは、何刻だい」
七平も少し面喰らいました。
「卯刻(六時)少し前ですよ」
「それからどうした?」
と平次。
「少し早いから、もう一度自分の部屋に帰って着換えやなんかしました」
多分、もう一度床の中へもぐり込んだのでしょう。
「七平がお勝手の開いてるのを見たのは?」
「ちょうど卯刻でした」
「その間誰もお勝手を通りはしまいな」
「通ったものがあれば、私かお早どんに気が付くはずです」
下男部屋と女中部屋が、奥からお勝手への通路を挟んで関所になっていたのです。
「親分、ちょいとお顔を」
「何だい、八」
ガラッ八が招き猫のような手付きをしているのを見ると、平次はお勝手から水下駄を突っかけて、裏口の方へ出ました。
「この潜戸も開いちゃいなかったそうですよ、親分」
八五郎は厳重な締りをした潜戸を指しました。
「多分そんなことだろう」
「あっしには見当が付かなくなりましたよ、少し筋道だけでも立てて下さい」
「どんな筋道だい」
「七平が言う通り、お勝手が開いていれば、下手人は外から入って、外へ逃げたはずじゃありませんか、ところが下女は自分で開けたと言うし、この通り、お勝手から外の往来へ出る、裏口も昨日の朝は開いていなかっ