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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens

Aozora Bunko

「ヘエ、お安い御用で」

番頭は平次を案内して納戸につれ込むと、女中の手をかりて十七八枚の丹前を出しました。

「これでございます、親分さん」

「どれどれ」

八五郎の手をかりて、二人でその十七八枚の褞袍の裏――花色木綿を調べて行くと、

「あった、親分」

とうとうガラッ八が発見しました。一枚の褞袍の裏が釘に引裂かれて、一寸五分ほど、毟り取られたまま白い綿を見せているではありませんか。

鳴子屋の塀の釘に残った巾は平次の懐から出ました。当ててみると、大きさも、色合も、寸分の隙もなくピタリと合います。

「親分」

「あの野郎だ」

二人は番頭に礼を言って、一気に浜町まで飛びました。玄々斎の家を覗くと空っぽ。

「両国だ」

「それッ」

真っ直ぐに両国へ――。

「御用ッ」

「滝松、神妙にせい」

葭簾の前後から飛込んだ平次とガラッ八。

「何をッ」

滝松は隠し持った匕首を抜いて、猛烈に抵抗しましたが、それも平次に叩き落されて、ガラッ八の手でキリキリと縛り上げられたのです。

盛り場の人垣の中、それを引いて行くガラッ八の得意そうな顔と別れて、平次は自分の家へ久し振りで晴々した心持で帰りました。

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