Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
母親は真っ紅になって差し俯向くお静を振返って、こう続けました。
「この月といっても、あと三日しかないから、支度がとても間に合わないよ、親分」
「おっ母ア、それも承知だ。が、あと三日のうちに祝言の真似事だけでもしないと、俺の男が立たないことがあるんだ」
「親分の男が?」
「そう言っただけでは解るまいが、――知っての通り、近頃あっちこっちで花嫁が盗まれる。それも、神田一円と日本橋の数ヶ町かけての祝言ばかりを狙って、暮から六人も行方知れずだ。神隠しに逢うのか誘拐されるのか、ともかく容易なことじゃねえ」
「そうだってね、親分」
「笹野様もことのほか御心配で、平次何とかしろとおっしゃるが、こればかりは雲を掴むようで、どうにも手におえねえ。神隠しなどという言い訳は、お上の筋は通らないから、十手捕縄を預かる者から言えば、これはどこまでも悪者の仕業に相違ねえ」
「…………」
「ガラッ八も石原の兄哥も失策ったのを承知で、伊勢直の祝言へ行って見張ったはいいが、この平次までが見事に裏を掻かれ、尻尾を巻いて引き下がってしまったようなわけだ」
「…………」
「世上の人が後ろ指をさしているようで、どうにも外へ出る勢いもねえ。