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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
「そいつは大変だ。来いッ、八」
と飛出す平次。
「もう一度駆けるんですか」
「曲者は仕掛けて来やがった。大事な潮時だ。後から跟いて来い」
阿部川町まで駆け付けた平次。
末っ娘に死なれて、萎れ返る甚兵衛を慰めながら、線香を上げて死骸を見せて貰いました。
「親分、手と足に縄で縛った痕がありますよ」
と八五郎、息を切らしながらも後ろから顔を出します。
「シッ、黙っていろ、――猿轡の痕もあるんだ」
「ヘエ――」
「手足を縛って猿轡をはめて溺れ死んだ上、わざわざそれを解いて身投げする亡者はあるまい、八」
「ヘエ――」
死骸を一と眼、平次は何もかも見抜いた様子です。
小僧の長吉と、下女のお角を呼んで訊くと、お村が外へ出たのは亥刻過ぎらしく、外から男が合図していたというので口が合います。
平次は三河屋の家をグルリと廻ってみました。お村の部屋は裏二階の下で、木戸を押せば、すぐ中庭から外に出られ、身軽なものなら、二階から塀伝いに下へ降りることもむつかしくはありません。
「ところで八、今から四半刻ほど経ったら、こういう芸当をやらかして貰いたいんだが――」
平次が何やら囁くと、
「ヘエ、ヘエ、そいつは危ないね」