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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens
「どれどれ」
利助が受取って中を開くと、拙い仮名文字でたった三行ばかり。
――新太郎を殺したくなかったら、お吉をゆるせ。その女に罪はないぞ――
と書いてあります。
「畜生ッ、人を嘗めた事をしやがる。外に居る仲間が、お吉を助けようとしての細工だ」
利助は地踏んで口惜しがります。
「坊やに万一の事があってはならない。口惜しいけれど、その女を納戸から出して、どこなと、好きなところへやっておくれ」
お国はさすがに母親らしい弱いことを言いますが、
「とんでもない奥様、これは術ですよ。女を助けたところで若様を返すとは言やしません。それよりこの女をお白洲に突き出して、言わせるようにして物を言わせましょう。この女さえ口を開けば、何もかも判ってしまいます」
利助は意地になって聴き入れません。
「どうなとお前のいいようにしておくれ。私には、何が何だか判らない」
お国は精も根も尽き果てて、たださめざめと泣くばかりです。
「よし、この上は容赦しねえ。女来い」
納戸を開けて、三日越しの監禁に、すっかり弱り果てているお吉を引出しました。
「これ、何をするのさ」
「黙って来てみりゃ判る。それが嫌なら、相棒の名前とその巣を言えッ」