Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(九)不死の霊薬 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 144,106 characters · 292 screens

Aozora Bunko

岡っ引が店賃を溜めりゃ、お上から御褒美でも出るって言うのかい」

「ヘエ、――驚いたね。二三百両持って来てやりてえが、あっしも、今月はやり繰りが付かねえ」

「馬鹿野郎、人の店賃の世話より、手前の小借りでも返す工夫をしやがれ。二三百両ありゃ、角の酒屋の借りぐらいは返せるだろう」

「ありゃ、一貫六百で、親分」

「六百でも一貫でも借りは借りだ。十手なんか突っ張らかして半端な借りを拵えると、町内の鼻ッつまみになるぞ」

「ヘエ――」

ガラッ八は、まさに一言もありません。

「まア、そんな事を、人様が聞くと笑いますよ」

女房のお静は濡れた手を拭きながら、顔を出しました。その後ろから、ニコニコした顔を覗かせたのは、石原の利助の娘――娘御用聞――といわれたお品です。お静とあまり年は違いませんが、いつまで経っても世帯擦れのしない、初々しいお静の女房振りに比べて、出戻りで理智的で、確り者らしいお品は、美しさに変りはなくとも、二つ三つ老けて見えるのも是非のないことでした。

「あ、お品さんか、――お品さんなら有るも無いも承知だ。極り悪がることがあるものか」

「まア」

お静とお品は、顔を見合せて隔てもなく笑いました。