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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens

Aozora Bunko

平次は高飛車に極め付けました。

「ヘエ――」

「白ばっくれちゃいけねえ。手前が隠し立てすると、お夏の首に縄が掛るぞ」

「…………」

平次に脅かされながらも、専次の首は深々と垂れるばかり、一言も物を言う様子はありません。

「八」

「ヘエ」

「耳を借せ」

平次は何やら八五郎の耳に囁くと、

「やってみましょう、待っていて下さい」

ガラッ八は猟犬のように飛出しました。

それからしばらく、平次と専次の睨み合いが続きます。

「どうだ、証拠を突付けられてからじゃ、手前の損だぞ、今のうちに、みんなブチまけたらどうだ」

「…………」

「俺は何もかも知っている。尺八の復習から抜け出して、どこへ行った」

「…………」

平次の答を空耳に聞いて、専次は一言の応えもありません。

「親分、あった、これでしょう」

飛んで来たのは、ガラッ八でした。平次の手へ渡したのは、尺八を入れた鬱金木綿の袋。

「これだ、どれ、灯を貸してくれ」

行灯の側へ持って行って、紐を解くと、中から出て来たのは、籐を巻いた尺八が一管。

「あッ、血?」

ガラッ八の驚いたのも無理はありません。尺八の籐に喰い込んで、微かながら斑々と残るのは紛れもなく古い血潮の痕だったのです。