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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens
「専次、これでも黙っている気か、血刀を誰の手から受取って、この袋の中へ隠した」
「…………」
「口笛を吹いて合図した時、お前に血刀を渡した者があるはずだ、――お夏ではあるまい。お夏が見た時は、刀は死骸に突っ立っていたはずだ。お夏はそれを抜いてお前に渡すはずはない、お夏がお前に血刀を渡したなら、下手人は間違いもなくお夏だが、血刀を渡したのが他の者なら、下手人はお夏でない」
平次の推理が手厳しいうちにも、専次を安心に導く様子でした。
「…………」
「俺は最初、下手人はお前かも知れないと思った。お夏が刀を隠したなら、お前が下手人だ」
「…………」
「お前が下手人なら、一度お米を刺しておいて、また刀を取りにあの家へ入るはずはない」
「…………」
「下手人は、お前でも、お夏でもない。これはみんなお前やお夏に疑いをかける細工だ」
平次の推理は次第に専次の頑固な心を動かして行きました。
「本当でしょうか、親分、お夏に疑いは掛らないでしょうか」
「大丈夫だ、俺が引受ける、この平次がお夏を引受ける、――血の付いた脇差をお前に渡したのは誰だ、言ってくれ」
「茂七ですよ、親分」
「何?」
「私が口笛の合図をすると、裏口へ茂七が出て来て、――お夏が間違いを起した、親殺しにされちゃ気の毒だから、この血刀をどこかへ隠してくれ、あとの始末は俺が引受けるから――