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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 136,062 characters · 276 screens

Aozora Bunko

世間では言ってますぜ、銭形のは腕前といい、気前といい、男っ振りといい、大したものだって」

「取って付けたようなお世辞を言うな」

「へッ、へッ、どうも今日はまんがよかったよ、紅い結綿で足を縛った烏なんてものは、滅多に見られる代物じゃねえ」

「何、何だとガラッ八、足を結綿で縛った烏だ、そんなものがどこにいたんだ」

平次の気組みは、急に熱を帯びて、ガラッ八の腕――財布を拾ったばかりの二の腕をむんずと掴みました。

「何でもありゃしませんよ、馬鹿馬鹿しい」

「いや、何でもなくはない、どこにそんな烏がいた」

「驚いたな、どうも、先刻子供達が河岸っ縁で捉えて、自身番へ持って来ましたよ。緋鹿の子の結綿で足を縛られて、その上櫛を差し込んであるんだから、どんな烏だって飛びやしません。バタバタやってるのをわけもなく捉えたが、鴨や雉と異って、真っ黒な烏じゃ、煮て食うわけにも行かねえ」

「それは大変だ、来いガラッ八、その烏に逢って訊きてえことがある」

「冗談でしょう」

平次は有無を言わせず、外へ引張り出しました。昼下がりの花川戸の往来は、暑さにしばらく人足も絶えて、何となくヒッソリしております。