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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,139 characters · 233 screens
「よく知っている。――が、私がこの大患で寝ているのに、幾度もやって来て無礼な事をした奴だ。何の丈夫でさえあれば、城弾三郎ごときに後ろを見せる拙者ではないが――」
高木勇名はそう言いかけて笑うのです。ポーッと頬のあたりに熱が上がって、半分咳き込みながらの話は聴いている方が痛々しくなります。
「差支えがなかったら、その仔細を明かしちゃ下さいませんか」
「厭だと言っても聴かずには帰るまい。――お上の御用とあらば、何事も打明けるのが道だが」
「…………」
「故主のお名前だけは勘弁して貰いたい。――実は拙者と城弾三郎は、九州のさる大藩に仕えて、外国船の出入りを取締っていたことがある――」
高木勇名は苦しい息を継ぎながら、この長物語をつづけました。それによれば、城弾三郎と高木勇名の二人、藩主の命令で、港の役所に出張り外国人や外国船の取締りをしているうち、城弾三郎は悪い商人と結託し、手広く抜け荷(密貿易)の取引を始め、暴利を貪っていることが判りました。
抜け荷は厳重な国禁で、万一幕府に、藩の役人がそんな事に関係していると知れたら、どんな咎めを受けるも知れず、高木勇名は独り心を痛めて、いろいろ同僚の城弾三郎に忠告し、その反省を促しましたが、何としても聴き容れず、そのうちに、いつの間にやら藩重役の耳に入って、城弾三郎は永の暇になっ