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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,139 characters · 233 screens
てしまいました。それは今から三年前のことです。禄に離れた城弾三郎は、自分の悪事を棚にあげ、国を逐われたのを、事情を知っている高木勇名の讒言に相違ないと信じ込み、八方手をつくして陥れ、その結果、つづいて、高木勇名も永の暇になり、流れ流れて二人は、同じ江戸の、しかも隣町に住んでいることを発見したのでした。
「かような始末ではござる。死屍を鞭打つようで心苦しいが、申さなければかえって疑惑を増すであろう」
高木勇名はようやくこれだけのことを話しおわって、疲れ果てた顔を枕に埋めました。
「もう一つ、――城弾三郎様は、今までの間に、何か仕掛けるとか、付け狙うとか、変な素振りはなかったでしょうか」
平次は静かに訊き返します。
「あった。度々この浪宅を襲ったが、病中でもあり、私の方で避けて相手にしなかった」
高木勇名は淋しく笑います。やつれ果ててはおりますが、分別者らしい品の良い顔で、熱を持った眼も聡明そうに輝きます。
「お子様は、お嬢様お一人で」
平次は最後の問いを投げて、ジッと高木勇名の病気にやつれた顔を見詰めました。
「いや、倅が一人あるが」
「どちらにお出ででしょう」