Japanische Klassiker mit Furigana
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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
Lesen Sie 妾の半生涯 (わらわのはんせいがい) von 福田 英子 (ふくだひでこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.051 Zeichen · 122 Bildschirme
何という方ぞと重ねて問えば富井さんと仰有いますと答う。なに富井さん! 妾は床を蹶りて飛び起きたるなり。階段を奔り下りるも夢心地なりしが、庭に立てるはオオその人なり。富井さんかと、われを忘れて抱きつき、暫しは無言の涙なりき。懐かしき女史は、幾日の間をか着のみ着のままに過しけん、秋の初めの熱苦しき空を、汗臭く無下に汚れたる浴衣を着して、妙齢の処女のさすがに人目羞かしげなる風情にて、茫然と庭に佇めるなりけり。さてあるべきに非ざれば、二階に扶け上げて先ず無事を祝し、別れし後の事ども何くれと尋ねしに、女史は涙ながらに語り出づるよう、御身に別れてより、無事郷里に着き、母上兄妹の恙なきを喜びて、さて時ならぬ帰省の理由かくかくと述べけるに、兄は最と感じ入りたる体にて始終耳を傾け居たり。その様子に胸先ず安く、遂に調金の事を申し出でしに、図らざりき感嘆の体と見えしは妾の胆太さを呆れたる顔ならんとは。妾の再び三たび頼み聞えしには答えずして、徐かに沈みたる底気味わるき調子もて、かかる大それたる事に加担する上は、当地の警察署に告訴して大難を未萌に防がずばなるまじという。妾は驚きつつまた腹立たしさの遣る瀬なく、骨肉の兄と思えばこそかく大事を打ち明けしなるに、卑怯にも警察に告訴して有志の士を傷つけんとは、何たる怖ろしき人非人ぞ、もはや