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Japanische Klassiker mit Furigana

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わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

Lesen Sie 妾の半生涯 (わらわのはんせいがい) von 福田 英子 (ふくだひでこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.051 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

第十二 重井の変心

一 再び約束履行を迫る

死するも診察は受けじとて、堅く心に決しければ、人々には少しも気分に障りなき旨を答え、胸の苦痛を忍び忍びて、ひたすら母上の全快を祈るほどに、追々薄紙を剥ぐが如くに癒え行きて、はては、床の上に起き上られ、妾の月琴と兄上の八雲琴に和して、健やかに今様を歌い出で給う。

春のなかばに病み臥して、花の盛りもしら雲の、消ゆるに近き老の身を、うからやからのあつまりて、日々にみとりし甲斐ありて、病はいつか怠りぬ、実に子宝の尊きは、医薬の効にも優るらん、

滞在一週間ばかりにて、母上の病気全く癒えければ、児を見たき心の矢竹にはやり来て、今は思い止まるべくもあらねば、われにもあらず、能きほどの口実を設けて帰京の旨を告げ、かつ妾も思う仔細あれば、遠からず父上母上を迎え取り、膝下に奉仕することとなすべきなど語り聞えて東京に帰り、先ず愛児の健やかなる顔を見て、始めて十数日来の憂さを霽しぬ。

第十二 重井の変心

一 再び約束履行を迫る

妾の留守中、重井は数来りて小児を見舞いしよし、いまだ実子とてはなき境涯なれば、今かく健全の男子を得たるを見ては、如何で楽しくも思わざらん、ただ世間を憚ればこそ、その愛情を押し包みつつ、朝夕に見たき心を忍ぶなるべし。