Japanische Klassiker mit Furigana
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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
Lesen Sie 妾の半生涯 (わらわのはんせいがい) von 福田 英子 (ふくだひでこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 64.051 Zeichen · 122 Bildschirme
四 眉目よき一婦人
当所に来りてよりは、長崎なる拘留所の、いと凄まじかりしに引き換え、総てわが家の座敷牢などに入れられしほどの待遇にて、この両人の内、代る代る護衛しながら常に妾と雑話をなし、また食事の折々は暖かき料理をこしらえては妾に侑める抔、万に親切なりけるが、約二週間を経て中の島監獄へ送られし後も国事犯者を以て遇せられ、その待遇長崎の厳酷なりし比に非ず。長崎警察署の不仁なる、人を視る事宛然犬猫なりしかば、一時は非常に憤慨せしも昔徳川幕府が維新の鴻業に与りて力ある志士を虐待せし例を思い浮べ、深く思い諦めたりしが、今大阪にては、有繋に通常罪人を以て遇せず言葉も丁寧に監守長の如きも時々見廻りて、特に談話をなすを喜び、中には用もなきに話しかけては、ひたすら妾の意を迎えんとせし看守もありけり。
四 眉目よき一婦人
ここにおかしきは妾と室を共にせる眉目麗しき一婦人あり、天性賤しからずして、頻りに読書習字の教えを求むるままに、妾もその志に愛でて何角教え導きけるに、彼はいよいよ妾を敬い、妾はまた彼を愛して、果は互いに思い思われ、妾の入浴するごとに彼は来りて垢を流しくれ、また夜に入れば床を同じうして寒天に凍るばかりの蒲団をば体温にて暖め、なお妾と互い違いに臥して妾の両足をば自分の両腋下に夾み、如何なる寒気もこの隙に入ることなからしめたる、