Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
従ってその期間がどれ位つづいたか、むろん判る筈もございませぬ。その中不図誰かに自分の名を呼ばれたように感じて眼を開きましたが、四辺は見渡すかぎり真暗闇、何が何やらさっぱり判らないのでした。それでも私はすぐに、自分はモー死んでいるな、と思いました。もともと死ぬる覚悟で居ったのでございますから、死ということは私には何でもないものでございましたが、ただ四辺の暗いのにはほとほと弱って了いました。しかもそれがただの暗さとは何となく異うのでございます。例えば深い深い穴蔵の奥と言ったような具合で、空気がしっとりと肌に冷たく感じられ、そして暗い中に、何やらうようよ動いているものが見えるのです。それは丁度悪夢に襲われているような感じで、その無気味さと申したら、全くお話しになりませぬ。そしてよくよく見つめると、その動いて居るものが、何れも皆異様の人間なのでございます。――頭髪を振り乱しているもの、身に一糸を纏わない裸体のもの、血みどろに傷いて居るもの……ただの一人として満足の姿をしたものは居りませぬ。殊に気味の悪かったのは私のすぐ傍に居る、一人の若い男で、太い荒縄で、裸身をグルグルと捲かれ、ちっとも身動きができなくされて居ります。