Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
三十八、姫の生立
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私達は神床の前面に、左と右に向き合って座を占めました。その頃の私は最う大分幽界の生活に慣れて来ていましたものの、兎に角自分より千年あまりも以前に帰幽せられた、史上に名高い御方と斯うして膝を交えて親しく物語るのかと思うと、何やら夢でも見て居るように感じられて仕方がないのでした。
三十八、姫の生立
私達の間には、それからそれへと、物語がとめどなくはずみました。霊の因縁と申すものはまことに不思議な力を有っているものらしく、これが初対面であり乍ら、相互の間の隔ての籬はきれいに除り去られ、さながら血を分けた姉妹のように、何も彼もすっかり心の底を打ち明けたのでございました。
私というものは御覧の通り何の取柄もない、短かい生涯を送ったものでございますが、それでも弟橘姫様は私の現世時代の浮沈に対して心からの同情を寄せて、親身になってきいてくださいました。『あなたも随分苦労をなさいました……。』そう言って、私の手を執って涙を流された時は、私は忝いやら、難有いやらで胸が一ぱいになり、われを忘れて姫の御膝に縋りついて了いました。
が、そんな話はただ私だけのことで、あなた方には格別面白くも、又おかしくもございますまいが、ただ其折弟橘姫様御自身の口づから漏された遠き昔の思い出話――これはせめてその一端なりとここでお伝えして置き