Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
六、幽界の指導者
ます。傍からのぞけば、顔が痙攣たり、冷たい脂汗が滲み出たり、死ぬる人の姿は決して見よいものではございませぬが、実際自分が死んで見ると、それは思いの外に楽な仕事でございます。痛いも、痒いも、口惜しいも、悲しいも、それは魂がまだしっかりと躯の内部に根を張っている時のこと、臨終が近づいて、魂が肉のお宮を出たり、入ったり、うろうろするようになりましては、それ等の一切はいつとはなしに、何所かえ消える、というよりか、寧ろ遠のいて了います。誰かが枕辺で泣いたり、叫んだりする時にはちょっと意識が戻りかけますが、それとてホンの一瞬の間で、やがて何も彼も少しも判らない、深い深い無意識の雲霧の中へとくぐり込んで了うのです。私の場合には、この無意識の期間が二三日つづいたと、後で神さまから教えられましたが、どちらかといえば二三日というのは先ず短い部類で、中には幾年幾十年と長い長い睡眠をつづけているものも稀にはあるのでございます。長いにせよ、又短かいにせよ、兎に角この無意識から眼をさました時が、私たちの世界の生活の始まりで、舞台がすっかりかわるのでございます。
六、幽界の指導者