Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
五十五、母の訪れ
』
五十五、母の訪れ
私が滝の修行場へ滞在した期間はさして長くもなかった上に、あそこは言わば精神統一の特別の行場でございましたので、これはと言って特に申上げるほどの面白い出来事もございませぬ。私はあの滝の音をききながら、いつもその音の中に溶けこむような気分で、自分の存在も忘れて、うっとりとしていることが多いのでございました。お蔭様でそうした修行の結果、私の統一は以前にましてずっと深まり、物を視るにも、あれから大へんに楽になったように、自分にも感じられてまいりました。こちらの世界へ来てもすべては修行次第で、呑気に遊んでいたのでは、決して力量がつくものではないようでございます。実をいうと私などは、可なり執着も強く、しかも自分では成るべく呑気に構えていたい方なのですが、魂の因縁と申しましょうか、上の神様からのお指図で、いつも一つの修行から次ぎの修行へと追い立てられてまいりました為めに、やっと人並になれたのでございます。考えて見ると随分お恥かしい次第で……。
それはそうと滝の修行中にも、一つ二つの思い出の種子がない訳でもございませぬ。その一つは私の母がわざわざ訪ねて来てくれたことで、それが帰幽後に於ける母子の最初の対面でございました。