Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
五十四、雷雨問答
『何か差支でも起きたのでございますか?』
『いやそうではない。実は神界から、雨を降らせるに就いては、同時に雷の方も見せてやれとのお達しが参ったのじゃ。それで今その手筈をしているところで……。』
『まあ雷でございますか……。是非それも見せて戴き度うございます……。』
五十四、雷雨問答
それから間もなく、私は随分と激しい雷雨の実況を見せて戴いたのでございますが、外観からいえばそれは現世で目撃した雷雨の光景とさしたる相違もないのでした。先ず遥か向うの深山でゴロゴロという音がして、同時に眼も眩むばかりの稲妻が光る。その中、空が真暗くなって、あたりの山々が篠突くような猛雨の為めに白く包まれる……ただそれきりのことに過ぎませぬ。
が、内容からいえば、それは現世ではとても思いもよらぬような、不思議な、そして物凄い光景なのでございました。
『雨雲の中をよく見るがよい。眼を離してはならぬ。』
お爺さんからそう注意されるまでもなく、私はもう先刻から一心不乱に深い統一に入って、黒雲の中を睨みつめて居たのですが、たちまち一体の竜神の雄姿がそこに鮮かに見出されました。私は思わず叫びました。