Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

八、岩窟

生前は薄い頭髪を茶筌に結っていましたが、幽界で私の許に訪れた時は、意外にもすっかり頭顱を丸めて居りました。私と異って祖父は熱心な仏教の信仰者だった為めでございましょう……。

八、岩窟

話が少し後に戻りますが、この辺で一つ取りまとめて私の最初の修行場、つまり、私がこちらの世界で真先きに置かれました境涯につきて、一と通り申述べて置くことに致したいと存じます。実は私自身も、初めてこちらの世界に眼を覚ました当座は、只一図に口惜しいやら、悲しいやらで胸が一ぱいで、自分の居る場所がどんな所かというような事に、注意するだけの心の余裕とてもなかったのでございます。それに四辺が妙に薄暗くて気が滅入るようで、誰しもあんな境遇に置かれたら、恐らくあまり朗かな気分にはなれそうもないかと考えられるのでございます。

が、その中、あの最初の精神の暴風雨が次第に収まるにつれて、私の傷けられた頭脳にも少しづつ人心地が出てまいりました。うとうとしながらも私は考えました。――

『私は今斯うして、たった一人法師で寝ているが、一たいここは何んな所かしら……。私が死んだものとすれば、ここは矢張り冥途とやらに相違ないであろうが、しかし私は三途の川らしいものを渡った覚えはない……閻魔様らしいものに逢った様子もない……何が何やらさっぱり腑に落ちない。