Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
先ず天狗の姿から申し上げましょう。前にものべた通り、天狗は時と場合で、人間その他いろいろなものの姿に上手に化けます。かく申す私なども最初はうっかりその手に乗せられましたもので……。しかし近頃ではもうそんな拙な真似はいたしません。天狗がどんな立派な姿に化けていても、すぐその正体を看破して了います。大体に於て申しますと、天狗の正体は人間よりは少し大きく、そして人間よりは寧ろ獣に似て居り、普通全身が毛だらけでございます。天狗の中のごくごく上等のもののみが人間に近い姿をして居りますようで……。
但しこれは姿のある天狗に就いて申したのでございます。天狗の中には姿を有たないのもございます。それは青味がかった丸い魂で、直径は三寸位でございましょうか。現に私どもが天狗界の修行場に居った時にも、三つ四つ樹の枝にひっついて光って居りました。
『あれはモーすっかり修行が積んで、姿を棄てた天狗達でござる……。』
天狗の頭目はそう私に説明してくれました。
天狗の姿も不思議でございますが、その生立は一層不思議でございます。天狗には別に両親というものがなく、人間が地上に発生した、遠い遠い原始時代に、斯ういうものも必要であろうという神様の思召で言わば一種の副産物として生れたものだと申すことでございます。