Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme

Aozora Bunko

五十九、水さかずき

兎に角日頃ただ一人山の中に閉じこもり、めったに外界と接する機会のない私にとりて、斯うした少女との不意の会合は世にももの珍らしい限りでございました。私は不躾とか、遠慮とか言ったようなことはすっかり忘れて了い、早速近づいて附添のお爺さんに訊ねました。――

『あの、このお児さまは、どこのお方でございますか?』

『これはもと京の生れじゃが、』と老人は一向済ました面持で『ごく幼い時分に父母に訣れ、そしてこちらの世界に来てからかくまで生長したものじゃ……。』

『まあこちらの世界で大きくなられたお方……私、まだ一度もそう言ったお方にお目にかかったことがございませぬ。もしお差支がなければ、これから私の滝の修行場までお出掛けくださいませぬか。ここからそう遠くもございませぬ……。』

『あなたの事はかねて滝の竜神さんから伺って居ります……。ではお言葉に従ってこれからお邪魔を致そうか……。雛子、この姨さまに御挨拶をなさい。』

そう言われると少女はにっこりして丁寧に頭をさげました。

私はいそいそとこの二人の珍客を伴いて、滝の修行場へと向ったのでした。

五十九、水さかずき

お客さまが見えた時に、こちらの世界で何が一ばん物足りないかといえば、それは食物のないことでございます。