Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
それと知った時の数間の爺やの得意さと言ったらありませんでした。
『ソーれお見なされ姫様、他のことにかけては姫様がお偉いか知れぬが、馬の事にかけては矢張りこの爺やの方が一枚役者が上でござる……。』
間もなく私は海の修行場を引き上げて、永久に神社の方に引き移りましたが、それと殆んど同時に馬も数間の爺やに曳かれて、頭を打振り打振り歓び勇んで私の所に現われました。それからずっと今日まで馬は私の手元に元気よく暮して居りますが、ただこちらでは馬がいつも神社の境内につながれて居る訳ではなく、どこに行って居っても、私が呼べばすぐ現て来るだけでございます。さびしい時は私はよく馬を相手に遊びますが、馬の方でもあの大きな舌を持って来て私の顔を舐めたりします。それはまことに可愛らしいものでございまして……。
それから馬の呼名でございますが、私は予ての念願どおり、若月を改めて、こちらでは鈴懸と呼ぶことに致しました。私が神社に落ちついてから、真先きに訪ねてくれたのは父だの、母だの、良人だのでございましたが、私は何は措いても先ずこの鈴懸を紹介しました。その際誰よりも感慨深そうに見えたのは矢張り良人でございました。